本日、書籍『実像 広島の「ばっちゃん」中本忠子の真実』(KADOKAWA)が発売となりました。
本名よりも「ばっちゃん」の通称で知られる中本忠子さんは、現在85歳。広島市にあるアパートを拠点に40年近くにわたり、非行少年をはじめ生きづらさを抱える人たちに無償で手料理を提供し、生活の立て直しを支援してきた方です。
その圧倒的な善行は、テレビや新聞など数々のメディアで「広島のマザー・テレサ」として取り上げられてきました。
私自身も2016年の最初の取材時、週刊誌でそうした表記を用いたのですが、一方で中本さんの活動の動機はベールに包まれて描けぬままでした。
活動の動機という「謎」を解こうと取材を重ねるうちに浮かんできたのは、わかりやすい美談ではありませんでした。
貧困や差別、女性の生き方、メディアのあり方など、この国が内包する数々の絡まりあった問題だったのです。それらはどれも、結果として本書のキーワードとなった「家族」と繋がるものでもあります。
一方で、中本さんの「実像」を理解するほど、後に生まれた者として刺激を受け、自らの人生を肯定しながら生きる気力が湧いてくるようでした。
ぜひお読みいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。