文藝春秋12月号「女性の自殺はなぜ急増したのか」のお知らせ

文藝春秋12月号で、ルポ「女性の自殺はなぜ急増したのか」を書きました。
折しも発売日(10日)に10月の自殺者数の速報値が発表され、女性の自殺者が前年同月比で82.6%増の851人に。女性の自殺が急増したのは7月からですが、一段と深刻な状況になってしまいました。
ただ先月時点で、「死にたい」立場の女性たちや識者の方を取材しながら、恐らくこうなるのではないかと予感していました。
そんな懸念の根拠を、記事で示しています。

取材を始めるにあたり、精神科医からこんなことを言われました。
自殺が連鎖している芸能人や、ひときわ苦境に立たされている風俗業界の女性たちは、時代の空気にいち早く反応する「炭鉱のカナリア」ですよ、と。
この言葉に導かれるように、芸能人の自殺連鎖を踏まえつつ、風俗業界の「死にたい」女性たちの声を聞いて歩くことになりました。
ただ、最初にアポ入れしたコロナ禍で自殺未遂した女性は、取材するまで「求職中のシングルマザー」としか知りませんでした。
が、蓋を開けてみれば風俗業界で働いていたとのこと。
子どもと持病を抱えていても融通のきく仕事となると、そこに行き着くのは自然なことだと痛切に感じました。
そして取材を進めるほど、この業界界隈の女性(特にシングルマザー)が、孤立し、暴力に晒され、多大なストレスがかかっている様が浮かび上がってきました。

10ページの記事で話をお聞きした全員を登場させられなかったのは、すべての方がまじめに生き、切実な訴えばかりだったからです。
風俗も芸能界も遠い世界のように感じる人もいると思いますが、自分と地続きの問題だと感じてもらえるように、腐心しながらまとめたつもりです。
記事の末尾を少しだけ引用するなら、「社会の分断、孤立化が進み、助けを求めにくくなっているのは、芸能人や風俗で働く女性に限った話ではない」です。
ぜひ、お手にとっていただければ幸いです。